はじめに

バイタルチェック表

このWebサイトでは【医療業界の知識と診療科の特徴・病院の組織などの基礎知識】について詳しく解説します。病院の組織は意外と複雑です。この記事を読めば理解が深まると思います。

診療科の特徴

血圧検査

どの診療科も人間の健康には不可欠ですし、重要性に差はありませんが、対象となっている患者様や診療内容が違います。

内科

身体の内部から治療するから「内科」と呼ばれている診療科。薬を投与したり生活指導で治療しますが、身体全身が対象になります。「問診」「視診」「触診」「検査」で診断します。呼吸器や循環器など臓器や疾患にうよっても専門が分かれています。なんとなく体調が悪い場合は、まず内科を受診する患者様が多いです。

外科

外科は主に手術をすることで外傷や疾患を治療する診療科。医療が専門家・高度化するにつれて細かく診療科が区分されています。呼吸器外科・気管食道外科・心臓血管外科・消化器外科・消化器内科・乳腺外科などに分かれています。体力的にも精神的にもタフでないとこなせないので男性医師の比率が9割を超しています。

整形外科

筋肉・関節・骨・靱帯(じんたい)など運動器官の治療をする診療科。脊髄・骨盤・肘・肩・手足・膝など対象は幅広いのが特徴で年齢層も全てです。

小児科

小児科は0才から15才くらいまでのお子さまの病気を総合的に診察します。発達期に応じた治療の専門的な知識が必要なため部位ではなくて年齢で診療科を設けています。

精神科・心療内科

うつ病・摂食障害・統合失調症など心が原因で発生する疾患に対応する診療科。行動療法・心理療法・薬物療法などで治療します。胃潰瘍などもストレスに基づく病気も心療内科の領域になります。

眼科

視機能・視神経・眼球など視覚に関する疾病を診断し治療する診療科。花粉症の対処やコンタクトレンズの処方もあります。白内障や網膜剝離の外科的手術もします。

産婦人科

産科は妊娠しているときの診察や出産の介助や産後のケアをします。婦人科の方は更年期障害・生理不順など内分泌疾患を担当します。子宮や卵巣など女性生殖器に関する疾病を治療し、外科的手術は帝王切開や子宮筋腫除去などがあります。

耳鼻咽喉科

メニエール病などのめまい・中耳炎・難聴などの耳の疾患。アレルギー性鼻炎・蓄膿症など鼻の疾患。咽頭炎・声帯ポリープなど喉の疾患を診察する診療科です。

リハビリテーション科

慢性疾患や交通事故などの後遺症によって運動機能に障害がでた患者様に医学的な治療をし、治療的な訓練をサポートする診療科です。運動・作業・物理・言語・薬物などの療法があります。

放射線科

放射線治療部門と画像診断部門に分かれます。放射線治療部門もはがん細胞に放射線を照射するなど、負担が小さい治療をします。画像診断部門はCTスキャンとかMRIなどの画像を見て診断結果を担当医に報告します。

皮膚科

水虫・アトピー性皮膚炎などの感染症やかゆみ・いぼ・火傷・じんましんなど日常的な疾患から皮膚がんまで範囲は広いです。爪・毛髪・皮膚などに関する病気を診察して治療します。

病理診断科

採取した臓器や組織の検体を顕微鏡で観察して、症状を特定したり進行具合を判定します。そして、病理診断をくだし、治療方法を選択する上で大切な判断材料になります。

救急科

さまざまな症状の患者様に対応しなければならないので幅広い知識と迅速で的確な判断力が求められ災害現場に派遣されることもあります。緊急度が高い重症患者の救命救急を担当する診療科です。

麻酔科

外科手術をする場合の麻酔管理をしたり、手術中の呼吸・血圧・心拍数の確認をしてバイタルチェックを担当します。いろんな疾患から出てくる痛みを薬物療法や神経ブロックで緩和する治療もします。

臨床検査科

血液・便・尿などの成分を調べる検体検査と、脳波や心電図を調べる生理検査の2種類があります。一般的に臨床検査技師が検査をします。臨床検査専門医が検査のプロセスや結果を管理します。

形成外科・美容外科

病気や怪我によって生じた身体の表面の改善を目的としています。あざや火傷の治療以外に骨の変形矯正をしたり乳房再建なども担当する診療科です。

脳神経外科

脳や脊髄や末梢神経の疾患を対象としている診療科。腫瘍・脳動脈瘤・血管腫・頭部外傷・脳出血などを診察します。

泌尿器科

膀胱・尿道・腎臓など尿を作って体外に排出する「尿路」を対象とする診療科です。尿路結石・膀胱炎・前立腺肥大症・各部位のがん・精巣など男性生殖器の疾患も取り扱います。

病院と診療所の違い

歩行補助機を使用して歩く患者

大きな違いはベッド(病床)の違いですね。20床未満の場合は診療所で、それ以上は病院です。医師の人数も違います。診療所の場合は医師がひとりの場合が多いですが、病院の場合は3人以上の医師が必要です。

病院の機能

血液検査

大きく区分すると「入院機能」と「外来機能」があります。これ以外に高齢化社会で重要になっているのが「在宅機能」です。これ以外には、人間ドッグや検診などの予防活動があります。

外来

受付をして、診察>検査>処置などを受けて最後に会計をします。夜間や休日などの診療や救急車で搬送された救急外来診療も病院が担う大切な外来診療のひとつです。

入院

病院の外来で診察を受けて医師の判断で入院が必要となった場合は入院になります。それ以外には、かかりつけ医から紹介してもらったり、救急外来を受診して入院治療が必要になった場合です。

在宅

患者さんの自宅や施設を医師などが訪問志手医療を提供します。自宅での療養を希望されている場合が多いので、在宅医療の必要性は毎年増えています。

病院の組織についての知識

レントゲン写真

基本的には、診療部門の医局・看護部門・医療技術部門・事務部門です。

管理者

法人病院の場合は医療法人の場合は理事長・公立であれば病院解説者や管理者が経営の責任を担います。病院長が管理者として診療の責任を担います。個人病院の場合は病院長が開設者・管理者として経営も診療の両方の責任者になります。

診察部(医局)

医師の集まりが医局です。大きな病院の場合は各診療科の構成単位を指します。一般病院の場合は各診療科の医師が集まって、診療情報を共有したり研修をする場所を医局と呼びます。

看護部

看護部の仕事は(1)処置を含めた診療の補助(2)患者様の身体を清潔に保ったり食事の介助のケア(3)患者さんに異常がないかをチェックする観察があります。慢性期の病棟では、介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネージャー)など介護系の職種もあります。

薬剤科(薬局)

薬局は薬剤の専門家として、品質が保証された医薬品を安全に適切な情報を提供することです。薬品の管理・医師の処方に基づいた調剤・薬に関する指導・薬品情報の入手や管理がメインの仕事です。

薬剤はどんどんと進歩していますが、どのような医薬品も副作用があり、全ての患者さんに安全で有効と保証されているのではありません。(1)起こるかもしれない副作用を未然に防ぐこと(2)医薬品の情報提供と知識の普及教育(3)医薬品が適正に使用されるようにチェックする役割(4)医師と連携しながら薬剤情報を提供すること(5)適正な薬剤使用の提案による医療費の削減などが期待されているのです。

検査科

従事しているのは、衛生検査技師や臨床検査技師です。次のような検査をしています。
「生化学的検査」……血液や尿などに含まれる化学物質の分析
「血液学的検査」……血液に含まれる成分を分析
「免疫学的検査」……アレルギー検査など
「微生物学的検査」……感染症の診断
「病理学的検査」……細胞や組織を顕微鏡で観察
「寄生虫学的検査」……寄生虫を観察

生理学的検査も検査科の担当になります。
代表的なものは心電図、呼吸機能、磁気共鳴画像、心音図、脳波、眼底写真、超音波(エコー)、毛細血管抵抗、筋電図、眼振電図、経皮的血液ガス分圧、基礎代謝、重心動揺、聴力などです。コレラは医療行為になりますが、医師の補助としてする場合は臨床検査技師が担当します。

放射線科

放射線科の仕事は放射線治療と画像を使った診断の2つです。
画像診断は、X線撮影(レントゲン撮影)やCT、MRIなどの撮影によって、画像から異常所見を発見し、報告します。
これ以外に血液造影などの画像診断をしての治療もあります。放射線治療ではがんの治療がメインです。

リハビリテーション科

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士、義肢装具士などの専門職が勤務しています。主な療法をご紹介しておきましょう。患者様の状態に応じてベストな方法でリハビリをして社会復帰を目指します。

「理学療法」……筋力増強訓練・歩行訓練・電気刺激・マッサージで身体機能の回復を目指します。
「作業療法」……パソコン・音楽・園芸・土木・工作・手芸などを使って応用動作を回復させたり、社会適応力の回復を目指します。
「視能訓練」……目の機能異常を検査。視能の訓練・指導をします。
「言語聴覚療法」……音声・言語・聴覚機能を向上・医師をするための療法です。

栄養科

管理栄養士、栄養士、調理師、調理人などが栄養科で働いています。患者様の毎日の食事や職員の食事を担当し、栄養面での指導をします。食事も治療の一環と考えており、栄養や食事の専門家として、栄養士が直接、入院患者様と接します。指導する機会はどんどんと増えており、チーム医療の栄養サポートチームへの参加も注目されています。

事務部門

事課、経理課、庶務課、総務課、施設課、用度課などが事務部門になります。病院の運営をサポートする役割があります。病院のスタッフが働きやすいように環境を整備する目的があります。

医事課

受付・会計・入院される場合の事務的な手続きや請求書の作成・保険請求業務が主な仕事です。

情報管理部門

仕事は診療情報の管理と情報システムの管理になります。一般企業と同じく病院でもIT化がどんどんと進んでいます。効率性や利便性を追求して情報を有効活用することが大事です。医療情報システムの運営管理も情報管理部門の大事な役割です。

診療情報の管理で中心になるのは診療情報管理士です。診療録の記録内容を点検したり、病名のデータを元に分類して集計します。医療統計・疾病統計を作成して公衆衛生や病院管理の資料とします。

地域連携室

地域における各医療機関が機能分担を図って適切な医療を効率的に提供するために作られたのが地域連携室です。地域の医療機関との連絡調整業務・地域の医療機関や介護施設からの紹介受付がメインの仕事になります。

医療相談室

医療ソーシャルワーカーが担当して患者様やご家族が抱えている悩み(経済的・社会的・心理的)を受け付けて、問題解決にあたるセクションです。病院の場合は、入退院の相談窓口、退院後の社会復帰・在宅医療への橋渡し役をします。地域連携室と同じ部門として扱われることもあります。

経営企画室

病院運営を支援する専門組織です。病院の管理運営に関係する指標を集計し、分析をしたデータで経営戦略を立案します。病院全体の中長期計画を実行支援します。

委員会

医療安全に関係する委員会や感染対策に関する委員会など、法律で設置が義務化されているものも含め、たくさんの委員会があります。他職種横断的に位置づけられているのが特徴でしょう。医療の品質向上・病院サービスの向上・運営の効率化などをテーマに設置されています。

まとめ

骨の標本

いかがでしたでしょうか?医療業界の知識と診療科の特徴・病院の組織などの基礎知識について、いろいろとご紹介しました。これ以外にも参考になる情報がありますので随時公開してまいります。